トピックス [TOPICS]


つしんきんは21世紀に向けて大いなる挑戦をしています。
当金庫はマスコミに度々取り上げられました。
ここにご紹介いたします。
=====新聞・テレビ・ラジオ=====

アメリカ
 平成6(1994)年4月29日に米国紙「ウォールストリートジャーナル」の一面に当金庫を筆頭に、日本企業数社が掲載された。見出しは「伝統を捨て去り、日本の異色企業はビジネス転換を進めている。」
これまでの金融機関が慣例のサービスとしてきた軽自動車やスクーターでの訪問活動を撤廃したことに注目。サービスをカットすることによって顧客に安い融資金利レートを提供する異色アプローチが日本ビジネスに変化の波紋を投げかけている−と紹介しています。
 実際に来店客や他の信用金庫などにナマの声を取材してもらいました。海外の新聞紙上に紹介され役職員一同、自信を深めています。


伝統を捨て去る

日本の異色企業が、そのビジネス風土を変える

信用金庫は、サービスとレートをカット
メーカーは、工場を閉鎖

質の前の収益性

記事 MICHAEL WILLIAMS
金林マサヨシ
(ウォールストリートジャーナルレポーター)

 日本、津−日本創世の伝承で知られる神聖な伊勢神宮の近くに位置するごく普通の地方の町で、浅生謙二氏は日本式ビジネスの通念を打ち破っている。
 この津信用金庫の本店で、筋金入りの60歳の経営者は、誇り高くこの地方の銀行経営の革新を指摘する。4人の窓口担当が、津信用金庫の日常業務をこなしている。つまり、これで日本の銀行に共通する係から係へ幾重にも流れる処理を省いているのである。また、津信用金庫では、預入を求めるため殆どの日本の銀行で慣例サービスとなっている軽自動車やスクーターでの訪問サービスも廃止した。
 しかしながら、津信用金庫の顧客たちはこれを喜んでいるのである。何故だろうか?経費節減により、津信用金庫は日本で一番低い利率を借入者に提供している。このような異色のアプローチが、今日本のビジネスに変化の波紋を投げ掛けている。「競合企業と同じことをするには、リスクが伴う。」、「つまり、彼らが失敗すれば、我々も失敗することになる。ビジネスはサバイバルである。」と浅生氏は笑みを浮かべ話す。
 それはまた、再生でもある。日本の経済や雇用の順調さは、余りにも有名な自動車や電子製品にイメージされるが、信用金庫や食品業界のようなあまり述べられることのない国内ビジネスがそれを支えているのである。だが、この分野には無駄と非効率なことが多い。1992年のMckinsey&Co.の調査によれば、例えば、日本の小売業分野は、アメリカに比べるとその収益性(生産性)はその44%にしか過ぎない。
 しかし、浅生氏のような異色さは、”ダーウィン”的アプローチからみると何年間も慣例化してきたものを捨て去ることにより、世界第二位の経済に新たな可能性を生み出している。その経営方針には、柔軟性をもたせ、対企業にも対個人にもそのニーズに見合う業務を行っている。無料サービスを削減し、人員を減らし、一番効率のよい方法でお金を動かす。積極的な利益の追求が、低成長時代における唯一の生き残り策であると彼らは考えているのである。

(一 部 省 略)

 滝沢氏のような企業家によって行われた変化は、驚異的とは思われないかも知れない。しかし、大学を卒業してすぐ創業71年の津信用金庫に入り、そこで経営のトップに昇り詰めた浅生氏も変化をおし進めているのである。日本で1980年代初期に銀行の規制緩和が行われた時、浅生氏は津信用金庫が競争に勝ち抜くため体制の無駄を徹底的に削減した。

 津信用金庫の集金車を減らすことで、112人分の仕事のうちの37人分を消し去ることができた。顧客の足を信用金庫へ運ばせるため、駐車場を拡張整備し、快適なソファーやカーペットを敷き、本支店共に雰囲気をお洒落にした。結局、狙った効果が引き出せ、この変化にかかった支出は元をとることができた。津信用金庫の総預金高に占める人件費など経費の支出は1.45%に落とせた。これは、この業界の平均をほぼ0.5%下回る数字である。諸経費が減り、津信用金庫では貸出金利率年4.575%を提供できるのである。これは、日本にある428の信用金庫のなかで最も低いレートである。

 一方、津の南にある松阪伊勢信用金庫では、古い方式での業務を行っている。32台の車と60台のスクーターから編成された57人の現金集金人が勤務している。松阪伊勢信用金庫の西村秀司理事は、浅生氏の新奇な考え方にはリスクがあると考える。「こうした集金は顧客をつなぎとめることである」と西村氏は指をからめながら言う。「我々は、大銀行と同じレベルで競争はできない。」、「また、日本の顧客はサービスは無料と考えている。」。

 しかしながら、おそらく日本人はもっと良質の業務内容を求めている。正木美奈子さんは言う。以前は津信用金庫の職員が彼女のビジネスである公衆浴場へ集金のためよくやってきた。「集金を待っているのは一種の煩わしさがあった。」。45歳のこの女性は、その頃を振り返りこう話す。今では彼女は自転車に乗り、一番近い支店まで自ら出掛けて行く。津信用金庫は、彼女のマンション購入の際のローンに非常に良いレートを提供できた。そのレートは、「他の銀行より相当低い。」と彼女は言う。

 彼女のような顧客が浅生氏の賭けがよい結果をもたらしていることを証明してくれていると言う。
「このような成熟経済下にあり、我々のやり方は受け入れられるだろう。」、「感性のない企業は、気の毒だが競争には残れないだろうね。」。

Apr.29.1994